家族で介護を分担するとき最初に決めること
兄弟姉妹で介護の分担を決めるとき、最初の話し合いで先に置いておく 6 つ (窓口と話す人・お金の出どころ・記録の置き場所・通院と連絡・できないことの申告・次に話す日) と、家族では決めない 3 つ (住む場所・医療の見通し・認定結果への不満) の持っていき先を分けました。
「誰がやるか」から話し始めると、たいてい平行線になります。先に決まっていないのは役割ではなく、決め方と連絡の道筋です。ここでは、最初の話し合いで先に置いておく 6 つと、家族では決めない 3 つを分けます。
今やること 3 つ
先に決める 6 つ
| 決めること | 決めておかないと起きること | 決め方の目安 |
|---|---|---|
| 窓口と話す人を 1 人 | 同じ説明が二重に届き、話が前に戻る | 本人の住所に近い人か、平日の日中に電話が取れる人 |
| お金の出どころ | 立て替えが積み上がって後から精算できなくなる | どの口座から出すか、立て替えの記録の付け方 |
| 書き留める場所を 1 か所 | 「聞いた」「聞いていない」が起きる | 共有できるノートかチャット 1 本に集約 |
| 通院と連絡の担当 | 平日の急な連絡に誰も出られない | 曜日か用件で分ける (通院・役所・電話) |
| できないことの申告 | 引き受けたまま続かず、途中で止まる | できない曜日・できない量を先に言葉にする |
| 次に話す日 | 決め直す機会がなくなり、不満だけが残る | 今回の話し合いの最後にカレンダーへ入れる |
この 6 つはどれも、家族の中だけで決められることです。順番に迷ったら、上から 2 つ (窓口と話す人・お金の出どころ) だけ今日決めます。
窓口と話す人を 1 人にする理由
家族の誰が受け手になるかを決めておくと、説明と同意の場に出る人が固定されます。
- 居宅介護支援の提供開始に際して、事業者は利用申込者またはその家族に対し、重要事項を記した文書を交付して説明を行い、同意を得ることとされています 出典: 厚生労働省 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第4条第1項
- サービス担当者会議は、利用者及びその家族の参加を基本としつつ、居宅サービス計画の原案に位置付けたサービスの担当者を招集して行う会議とされています 出典: 厚生労働省 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第13条第9号
- ケアプラン作成の流れでは、ケアマネジャーと利用者・家族・サービス提供事業者で、利用者の自立支援に資するサービスの検討を行うとされています 出典: 厚生労働省 介護サービス情報公表システム 居宅介護支援
- 介護支援専門員は、居宅サービス計画の原案の内容について利用者またはその家族に対して説明し、文書により利用者の同意を得ることとされています 出典: 厚生労働省 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第13条第10号
お金は「出どころ」と「記録」だけ先に決める
総額の見通しは、認定とケアプランが決まってからしか出ません。最初の話し合いでは 2 つだけ決めます。
- 出どころ — 本人の口座から出すのか、誰かが立て替えて後で精算するのか
- 記録 — 立て替えたときに何をどこに残すのか (領収書の置き場所、日付と用件のメモ)
- ケアプランの作成にあたって、利用者負担はありません 出典: 厚生労働省 介護サービス情報公表システム 居宅介護支援
- 費用の考え方と自己負担の決まり方は 介護保険制度 にまとめています
- 本人が契約や財産の管理をできない状態になったときの相談先は 成年後見制度・日常生活自立支援事業 と 本人が契約や財産管理をできないときは成年後見・日常生活自立支援事業を相談する にまとめています
書き留める場所を 1 か所にする
手元に紙が集まる仕組みになっているので、置き場所を先に決めておくと探す時間が消えます。
| 集まるもの | 決めること |
|---|---|
| 居宅サービス計画 (ケアプラン) の書面 | 原本の置き場所と、写真を共有する場所 |
| サービスの曜日と事業所の連絡先 | 家族が全員見られる 1 か所 |
| 支払いの記録・領収書 | 封筒かファイル 1 つ |
| 病院の予約と付き添いの担当 | カレンダーを 1 本に統一 |
- 介護支援専門員は、居宅サービス計画を作成した際には当該計画を利用者及び担当者に交付することとされています 出典: 厚生労働省 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第13条第11号
- 利用者から申出があった場合など、事業者は直近の居宅サービス計画とその実施状況に関する書類を交付することとされています 出典: 厚生労働省 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第15条
家族では決めない 3 つ
もめやすい論点は、たいてい家族だけで結論を出すものではありません。誰に持っていくかまでを決めるのが家族の仕事です。
| もめやすい論点 | 家族で決めること | 持っていく先 |
|---|---|---|
| 在宅を続けるか、住む場所を変えるか | いま出せる時間とお金、通える距離 | ケアマネジャーと地域包括支援センター → 家族だけでは介護できない。でも「在宅で」と言われそうで言い出せない |
| 医療の見通しと治療の方針 | 誰が説明を聞きに行くか、次の受診日 | 主治医 |
| 認定結果に納得できない | 不満の中身を言葉にする (どの動作の判定が実態と違うか) | 市の介護保険担当課 → 認定結果に納得できないときは区分変更か不服申立てを選ぶ |
介護ナビは判断の代わりをしません。症状や治療については主治医に、サービスの組み立てはケアマネジャーまたは地域包括支援センターに相談してください。
遠方に住む兄弟姉妹がいるとき
帰省の回数を数えて分担にすると、住んでいる人の負担だけが見えなくなります。役割を「距離でできること」に置き換えます。
- 近くにいる人 — 急な連絡の受け手、通院の付き添い、様子の確認
- 遠くにいる人 — 書類の下調べと記入、支払いと記録の管理、事業所や制度の調べもの
- どちらもやること — 決めたことを同じ場所に書く
担当の窓口は本人の住所で決まります。
- お住まいの住所によって、担当の地域包括支援センターが異なります 出典: 厚生労働省 介護サービス情報公表システム 公表されている生活関連情報について
- 地域包括支援センターは、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らしていけるよう総合的に支援するための相談窓口で、保健師、主任ケアマネジャー、社会福祉士等の専門職で構成されています 出典: 前橋市 まえばし高齢者福祉のしおり (令和8年4月)
- 前橋市内には地域包括支援センターが12か所、地域包括支援ブランチ (地域包括支援センターの初期相談窓口) が10か所設置されています 出典: 前橋市 まえばし高齢者福祉のしおり (令和8年4月)
担当の探し方は 前橋市の相談先 と 遠方から見守る体制を地域包括支援センターと組む にまとめています。
仕事との両立は勤務先に確認する
分担の話は「誰が仕事を調整できるか」で行き詰まります。制度の有無と手続きは、市役所ではなく勤務先の労務担当が窓口です。
- 制度の中身は 介護休業 と 介護休暇 にまとめています
- 申し出の進め方は 会社に介護休業を申し出る と 通院付き添いや手続きの日は介護休暇を使う にまとめています
- 仕事と介護の両立そのものは 仕事を辞めずに介護したい。会社に何を申請すればいいか分からない にまとめています
1 回目の話し合いの進め方
結論が出なかった項目は、そのまま次回に持ち越してかまいません。決まらなかったこと自体を書き残しておくと、同じ議論を一からやり直さずに済みます。
よくある質問
Q. 兄弟のうち 1 人だけが全部やっている状態です。何から変えますか。
A. 担当の入れ替えより先に「書き留める場所を 1 か所にする」から始めると、ほかの人が状況を把握できるようになります。そのうえで、遠方の人に書類の下調べと支払いの記録を移すところから分けます。
Q. 話し合いに本人を入れるべきですか。
A. 居宅サービス計画の原案は、利用者またはその家族に説明して文書により利用者の同意を得る仕組みになっています 出典: 厚生労働省 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第13条第10号。本人の意向が計画の前提になるため、本人が参加できる形を先にケアマネジャーに相談してください。
Q. サービス担当者会議には家族が出るのですか。
A. サービス担当者会議は、利用者及びその家族の参加を基本としつつ担当者を招集して行う会議とされています 出典: 厚生労働省 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第13条第9号。日程が合わないときの扱いは、担当のケアマネジャーに確認してください。
Q. 遠方に住んでいて平日の連絡を受けられません。
A. 急な連絡の受け手を近くにいる人に置き、書類・支払い・調べものを遠方の人が担う形に分けます。見守りの体制づくりは 遠方から見守る体制を地域包括支援センターと組む にまとめています。
Q. 誰に相談すればいいのか分かりません。
A. 地域包括支援センターは、高齢者を総合的に支援するための相談窓口です 出典: 前橋市 まえばし高齢者福祉のしおり (令和8年4月)。窓口の全体像は 介護のことは誰に相談する?窓口の全体像 にまとめています。
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出典
- 厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第38号) (2026年9月27日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82999405&dataType=0&pageNo=1
- 前橋市「まえばし高齢者福祉のしおり」(令和8年4月) (2026年9月27日閲覧) https://www.city.maebashi.gunma.jp/material/files/group/37/R8shiori.pdf
- 厚生労働省「介護サービス情報公表システム 公表されている生活関連情報について」(2026年9月27日閲覧) https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish_seikatsu/
- 厚生労働省「介護サービス情報公表システム どんなサービスがあるの? 居宅介護支援」(2026年9月27日閲覧) https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group1.html
よくある質問
- Q.兄弟のうち1人だけが全部やっている状態です。何から変えますか。
- 担当の入れ替えより先に「書き留める場所を1か所にする」から始めると、ほかの人が状況を把握できるようになります。そのうえで、遠方の人に書類の下調べと支払いの記録を移すところから分けます。
- Q.話し合いに本人を入れるべきですか。
- 居宅サービス計画の原案は、利用者またはその家族に説明して文書により利用者の同意を得る仕組みになっています (出典: 厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」第13条第10号)。本人の意向が計画の前提になるため、本人が参加できる形を先にケアマネジャーに相談してください。
- Q.サービス担当者会議には家族が出るのですか。
- サービス担当者会議は、利用者及びその家族の参加を基本としつつ担当者を招集して行う会議とされています (出典: 厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」第13条第9号)。日程が合わないときの扱いは担当のケアマネジャーに確認してください。
- Q.遠方に住んでいて平日の連絡を受けられません。
- 急な連絡の受け手を近くにいる人に置き、書類・支払い・調べものを遠方の人が担う形に分けます。見守りの体制づくりは介護ナビの「遠方から見守る体制を地域包括支援センターと組む」にまとめています。
- Q.誰に相談すればいいのか分かりません。
- 地域包括支援センターは、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らしていけるよう総合的に支援するための相談窓口です (出典: 前橋市「まえばし高齢者福祉のしおり」令和8年4月)。前橋市内には地域包括支援センターが12か所、地域包括支援ブランチが10か所設置されています。
出典
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