介護保険のしくみを10分で理解する
介護保険の保険者と被保険者、お金の流れ、自己負担が1割・2割・3割のどれになるか、区分支給限度額の「単位」という数え方、限度額の外にあるもの (福祉用具・住宅改修・食費居住費) を、厚生労働省の告示と前橋市の公表値で確認できる形に整理しました。
「介護保険を使ってください」と言われても、手元に使える券が届くわけではありません。医療保険と違って、介護保険は申請して認定を受けるまで使えない仕組みになっています。先に押さえるのは、お金の出どころと「単位」という独特の数え方の 2 つです。
今やること 3 つ
5 行でわかる介護保険
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 運営するのは | 市町村 (保険者)。前橋市では福祉部 介護保険課が担当 | 出典: 厚生労働省 介護保険制度の概要 (令和7年7月) / 出典: 前橋市 利用者負担と支給限度額 |
| 加入するのは | 65歳以上の第1号被保険者と、40歳から64歳までの第2号被保険者 | 出典: 厚生労働省 介護保険制度の概要 |
| 使うための条件 | 市町村の要介護認定 (要支援1・2 / 要介護1〜5) を受けること | 出典: 前橋市 サービスを利用できる人 |
| 窓口で払うのは | かかった費用の1割、2割または3割 | 出典: 前橋市 利用者負担と支給限度額 |
| 保険が払うのは | 残りの9割、8割または7割 | 出典: 厚生労働省 介護保険制度の概要 |
保険者 とは、保険を運営してお金を出す側のことです。介護保険の保険者は国ではなく市町村なので、申請も相談も住んでいる市町村が入口になります。
被保険者 とは、保険料を払って給付を受ける側、つまり本人のことです。
お金はどこから出ているか
- 利用者が窓口で払うのは 1割、2割または3割。残りは介護保険から事業者へ支払われます 出典: 前橋市 利用者負担と支給限度額
- 介護保険の財源は、保険料 50% と公費 50% で構成されています 出典: 厚生労働省 介護保険制度の概要
- 第1号被保険者 (65歳以上) の保険料は市町村が徴収し、原則として年金から天引きされます 出典: 厚生労働省 介護保険制度の概要
- 第2号被保険者 (40歳から64歳) の保険料は、医療保険の保険料と一括して医療保険者が徴収します 出典: 厚生労働省 介護保険制度の概要
| 財源の内訳 | 割合 | 根拠 |
|---|---|---|
| 第1号保険料 (65歳以上) | 23% | 出典: 厚生労働省 介護保険制度の概要 |
| 第2号保険料 (40歳から64歳) | 27% | 出典: 厚生労働省 介護保険制度の概要 |
| 国 (定率分 20% + 調整交付金 5%) | 25% | 出典: 厚生労働省 介護保険制度の概要 |
| 都道府県 | 12.5% | 出典: 厚生労働省 介護保険制度の概要 |
| 市町村 | 12.5% | 出典: 厚生労働省 介護保険制度の概要 |
40歳から64歳の親でも使える場合がある
「まだ65歳前だから介護保険は関係ない」と思い込んで、申請が遅れることがあります。年齢で入口が 2 つに分かれます。
| 第1号被保険者 | 第2号被保険者 | |
|---|---|---|
| 年齢 | 65歳以上 | 40歳から64歳まで (医療保険に加入している人) |
| 使える条件 | 原因を問わず、日常生活に介護や支援が必要と認定されたとき | 国が定める16種類の特定疾病が原因で介護や支援が必要になったとき |
| 保険料の集め方 | 市町村が徴収 (原則、年金から天引き) | 医療保険者が医療保険の保険料と一括徴収 |
| 根拠 | 出典: 前橋市 サービスを利用できる人 | 出典: 前橋市 サービスを利用できる人 |
特定疾病 とは、第2号被保険者が介護保険を使えるかどうかの入口になる、国が定めた16の病気のことです 出典: 前橋市 サービスを利用できる人。
- がん末期
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症 (アルツハイマー病・脳血管性認知症等)
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症 (ウェルナー症候群)
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患 (脳出血、脳梗塞等)
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患 (肺気腫、慢性気管支炎、気管支炎喘息等)
- 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
この一覧に当てはまるかどうかは、家族が読んで決めるものではありません。診断名は主治医に確認し、申請できるかどうかは市の介護保険担当課に尋ねてください。
自己負担の割合はどう決まるか
| 負担割合 | 条件 | 根拠 |
|---|---|---|
| 3割 | 「合計所得金額220万円以上」かつ「年金収入+その他合計所得金額340万円以上 (単身世帯。夫婦世帯は463万円以上)」 | 出典: 厚生労働省 介護保険制度の概要 |
| 2割 | 「合計所得金額160万円以上」かつ「年金収入+その他合計所得金額280万円以上 (単身世帯。夫婦世帯は346万円以上)」 | 出典: 厚生労働省 介護保険制度の概要 |
| 1割 | 上の 2 つに当てはまらないとき | 出典: 前橋市 利用者負担と支給限度額 |
自分で計算しなくてかまいません。判定して通知するのは市町村です。
- 前橋市は国の基準に従って所得等の確認を行い、負担割合を判定して「介護保険負担割合証」を発行します 出典: 前橋市 介護サービス利用時の負担割合
- 負担割合証は、要支援・要介護認定、総合事業を受けている人に前橋市から毎年7月中に送付されます 出典: 前橋市 介護サービス利用時の負担割合
- 適用期間は8月1日から翌年の7月31日までです 出典: 前橋市 介護サービス利用時の負担割合
- 新たに要介護認定等を受けた人の適用期間は、申請日からとなります 出典: 前橋市 介護サービス利用時の負担割合
- サービスを受けるときは「介護保険被保険者証」と「介護保険負担割合証」を事業所へ提示します 出典: 前橋市 介護サービス利用時の負担割合
確認の手順は 負担割合証で自己負担の割合を確認する にまとめています。
「単位」が分かると限度額が読める
在宅サービスには、要介護度ごとに介護保険から給付される 1 か月の上限 (区分支給限度額) があります 出典: 前橋市 利用者負担と支給限度額。上限は円ではなく 単位 で決められているのが、請求書が読みにくい理由です。
| 要介護度 | 単位数 (告示) | 支給限度額のめやす (1単位10円換算) | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 要支援1 | 5,032単位 | 50,320円 | 出典: 告示第33号 / 出典: 前橋市 |
| 要支援2 | 10,531単位 | 105,310円 | 出典: 告示第33号 / 出典: 前橋市 |
| 要介護1 | 16,765単位 | 167,650円 | 出典: 告示第33号 / 出典: 前橋市 |
| 要介護2 | 19,705単位 | 197,050円 | 出典: 告示第33号 / 出典: 前橋市 |
| 要介護3 | 27,048単位 | 270,480円 | 出典: 告示第33号 / 出典: 前橋市 |
| 要介護4 | 30,938単位 | 309,380円 | 出典: 告示第33号 / 出典: 前橋市 |
| 要介護5 | 36,217単位 | 362,170円 | 出典: 告示第33号 / 出典: 前橋市 |
単位数の出典は厚生労働省告示、円換算のめやすは前橋市の公表値です。
- 単位数は「居宅介護サービス費等区分支給限度基準額及び介護予防サービス費等区分支給限度基準額」(平成12年厚生省告示第33号) で全国一律に定められています 出典: 厚生労働省 平成12年厚生省告示第33号
- 現行の単位数は平成31年3月28日厚生労働省告示第101号による改正後のもので、平成31年10月1日から適用されています 出典: 厚生労働省 平成12年厚生省告示第33号
- 実際の支給限度額は金額ではなく単位数で決められており、1単位あたりの金額は事業者の所在地やサービス種類によって異なります 出典: 前橋市 利用者負担と支給限度額
- 上の表の円は、めやすとして1単位あたり10円で計算した額です 出典: 前橋市 利用者負担と支給限度額
- 上限額の範囲内で使ったときの自己負担は1割、2割または3割ですが、上限額を超えたサービス利用は全額自己負担となります 出典: 前橋市 利用者負担と支給限度額
限度額の外にあるもの 4 つ
上の表の限度額は「在宅サービスの枠」です。この枠の外に置かれているものが 4 つあります。
| 枠の外にあるもの | 扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 支給限度額が適用されないサービス | 居宅療養管理指導、特定施設入居者生活介護、施設サービス (特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護療養施設・介護医療院)、認知症対応型共同生活介護 (短期入所の場合を除く) など | 出典: 前橋市 利用者負担と支給限度額 |
| 福祉用具購入費 | 別枠で年間 (4月1日から翌年3月31日まで) 10万円が上限 | 出典: 前橋市 利用者負担と支給限度額 |
| 住宅改修費 | 別枠で1つの住宅につき20万円が上限 | 出典: 前橋市 利用者負担と支給限度額 |
| 食費・居住費・日常生活費 | 介護保険の対象外で全額自己負担。所得の低い人を対象とした軽減制度がある | 出典: 前橋市 利用者負担と支給限度額 |
- 福祉用具購入費の保険給付は、1割負担の人が9万円まで、2割負担の人が8万円まで、3割負担の人が7万円までです 出典: 前橋市 利用者負担と支給限度額
- 住宅改修費の保険給付は、1割負担の人が18万円まで、2割負担の人が16万円まで、3割負担の人が14万円までです 出典: 前橋市 利用者負担と支給限度額
- 施設の食費・居住費の軽減は 負担限度額認定、自己負担が重くなったときの払い戻しは 高額介護サービス費 にまとめています
申請からサービス開始までの 6 段
認定の有効期間は最長で36か月です。引き続きサービスを利用する場合は更新申請を行います 出典: 前橋市 サービス利用までの手順。
申請と認定の中身は 要介護認定 と 要介護認定の申請から結果までの流れ、ケアプランを誰に頼むかは ケアマネジャー (居宅介護支援事業所) を決める にまとめています。
よくある質問
Q. 親は63歳です。介護保険は使えませんか。
A. 40歳から64歳までの人は、国が定める16種類の特定疾病が原因で介護や支援が必要になったときに認定を受けてサービスを利用できます 出典: 前橋市 サービスを利用できる人。該当するかどうかは主治医に診断名を確認し、市の介護保険担当課に相談してください。
Q. 保険料はいつから払うのですか。
A. 40歳から64歳までの第2号被保険者の保険料は、医療保険の保険料と一括して医療保険者が徴収します 出典: 厚生労働省 介護保険制度の概要。65歳以上の第1号被保険者の保険料は市町村が徴収し、原則として年金から天引きされます。
Q. 支給限度額は使い切らないといけませんか。
A. 限度額は「ここまで保険が給付される」という上限で、使い切る義務はありません。上限額を超えたサービス利用は全額自己負担となります 出典: 前橋市 利用者負担と支給限度額。どこまで組むかはケアマネジャーと相談して決めます。
Q. ケアプランを作ってもらうのにお金はかかりますか。
A. 居宅介護支援は全額が保険給付されます 出典: 厚生労働省 介護保険制度の概要。相談してプランを作る段階の自己負担は生じません。
Q. 表の円と、実際に届いた請求書の額が合いません。
A. 実際の支給限度額は金額ではなく単位数で決められており、1単位あたりの金額は事業者の所在地やサービス種類によって異なります 出典: 前橋市 利用者負担と支給限度額。表の円は1単位10円で計算しためやすです。差が気になるときは、明細の単位数と要介護度をケアマネジャーに確認してください。
Q. 認定を待っている間は何もできませんか。
A. 認定結果を待つ間の過ごし方は 認定結果を待つ間に使えるサービスをケアマネジャーに相談する と 要介護認定の申請中。結果が出るまで何をしていいのか分からない にまとめています。
関連ページ
- 親が倒れた。介護が突然始まって、何から手をつければいいか分からない
- 介護のことは誰に相談する?窓口の全体像
- 要介護認定
- 居宅介護支援 (ケアマネジャー)
- 高額介護サービス費
- 前橋市の相談先
- あなたの状況を診断する
出典
- 厚生労働省老健局「介護保険制度の概要」(令和7年7月) (2026年9月27日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/content/001512842.pdf
- 厚生労働省「居宅介護サービス費等区分支給限度基準額及び介護予防サービス費等区分支給限度基準額」(平成12年厚生省告示第33号、最終改正 平成31年3月28日厚生労働省告示第101号) (2026年9月27日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82aa0267&dataType=0&pageNo=1
- 前橋市「利用者負担と支給限度額」(2026年9月27日閲覧) https://www.city.maebashi.gunma.jp/kenko_fukushi/2/4/3/11730.html
- 前橋市「サービスを利用できる人」(2026年9月27日閲覧) https://www.city.maebashi.gunma.jp/kenko_fukushi/2/4/3/11733.html
- 前橋市「サービス利用までの手順」(2026年9月27日閲覧) https://www.city.maebashi.gunma.jp/kenko_fukushi/2/4/3/11734.html
- 前橋市「介護サービス利用時の負担割合 (介護保険負担割合証の発行)」(2026年9月27日閲覧) https://www.city.maebashi.gunma.jp/kenko_fukushi/2/4/1/11741.html
よくある質問
- Q.親は63歳です。介護保険は使えませんか。
- 40歳から64歳までの人は、国が定める16種類の特定疾病が原因で介護や支援が必要になったときに認定を受けてサービスを利用できます (出典: 前橋市「サービスを利用できる人」)。該当するかどうかは主治医に診断名を確認し、市の介護保険担当課に相談してください。
- Q.介護保険料はいつから払うのですか。
- 40歳から64歳までの第2号被保険者の保険料は医療保険の保険料と一括して医療保険者が徴収し、65歳以上の第1号被保険者の保険料は市町村が徴収して原則として年金から天引きされます (出典: 厚生労働省「介護保険制度の概要」令和7年7月)。
- Q.支給限度額は使い切らないといけませんか。
- 限度額は保険から給付される上限で、使い切る義務はありません。上限額を超えたサービス利用は全額自己負担となります (出典: 前橋市「利用者負担と支給限度額」)。どこまで組むかはケアマネジャーと相談して決めます。
- Q.ケアプランを作ってもらうのにお金はかかりますか。
- 居宅介護支援は全額が保険給付されます (出典: 厚生労働省「介護保険制度の概要」令和7年7月)。相談してプランを作る段階の自己負担は生じません。
- Q.支給限度額のめやすの金額と、実際の請求書の額が合いません。
- 実際の支給限度額は金額ではなく単位数で決められており、1単位あたりの金額は事業者の所在地やサービス種類によって異なります (出典: 前橋市「利用者負担と支給限度額」)。公表されているめやすは1単位10円で計算した額です。明細の単位数と要介護度をケアマネジャーに確認してください。
出典
数字・要件は以下の一次情報で確認しています。最新の内容は各公式ページでご確認ください。