退院支援 (MSW) に頼めること・頼めないこと
厚生労働省が令和8年3月13日に全部改正した医療ソーシャルワーカー業務指針をもとに、病院の相談室に頼める 8 つの業務と、範囲の外にある用件 (要介護度の判定・ケアプラン作成・施設の申込み等) の回し先をまとめました。前橋市の窓口と退院調整ルールへのつなぎ方も示します。
病院の相談室がやっている「退院支援」には、国が定めた仕事の型があります。厚生労働省は令和8年3月13日付で医療ソーシャルワーカー (MSW) の業務指針を全部改正し、業務の範囲を 8 つに示しました。家族が頼める範囲と、範囲の外にある用件の回し先を、この指針から押さえます。
今やること 3 つ
退院支援の基本情報
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 根拠となる文書 | 医療ソーシャルワーカー業務指針 (厚生労働省医政局長通知 医政発0313第4号、令和8年3月13日の全部改正) | 厚生労働省 |
| 担当する人 | 医療機関等の管理者の監督の下に、社会福祉の立場から専門的知識及び技術に基づき多職種と連携して業務を行う者。社会福祉士が担うことが想定されている | 厚生労働省 |
| 部門の呼び名 | 病院ごとに異なる。指針は、部門が役割や活動をホームページ・案内パンフレット・院内掲示板等で周知するよう求めている | 厚生労働省 |
| 相談できる患者 | 入院・外来、在宅医療を提供する医療機関等の患者。業務は「入院・外来、在宅等の患者の居所を問わず」行うとされている | 厚生労働省 |
| 相談の費用 | 業務指針には、家族が相談そのものに支払う費用の定めがない。医療費の内訳は病院の会計窓口で確認する | 厚生労働省 |
| 前橋市の仕組み | 前橋版 退院調整ルール (手引きは令和8年6月改訂版) が病院と在宅の担当者の連携手順を定めている | 前橋市 |
| 制度の hub | 退院支援 (医療ソーシャルワーカー・入退院支援室) | — |
- 指針は都道府県への技術的助言として示されたもので、旧通知 (平成14年11月29日付け健発第1129001号) は廃止されました 出典: 厚生労働省「医療ソーシャルワーカー業務指針の全部改正について」
- 業務にあたっては、患者・家族等の個人情報の保護と倫理的課題に十分配慮するとされています 出典: 厚生労働省「医療ソーシャルワーカー業務指針の全部改正について」
8 つの業務を、家族が持ち込む用件に翻訳する
指針が示す業務の範囲は 8 つです。家族の側の言葉に置き換えると、どの用件をどう言えばいいかが決まります。
| 指針の業務 | 家族が持ち込める用件 | 相談室で言う言葉の例 |
|---|---|---|
| (1) 意思決定支援 | 本人が自分で決められない / 家族の意見が割れている | 「本人の希望をどう確認したらいいか、一緒に整理してもらえますか」 |
| (2) 心理的・社会的課題解決への支援 | 介護の不安で家族が持ちこたえられない | 「家族側が抱えている不安も相談できますか」 |
| (3) 入退院支援・療養支援 | 退院後の行き先と、サービスの開始日が決まらない | 「退院予定日までに何をどの順番で決めればいいですか」 |
| (4) 社会生活と治療の両立支援 | 仕事・学業・育児と介護が両立できない | 「勤務を続けながら介護する形を一緒に考えてもらえますか」 |
| (5) 受診・受療支援 | 治療の選択について説明が理解できない | 「医師の説明をもう一度聞く場を作ってもらえますか」 |
| (6) 経済的課題の把握と解決に向けた支援 | 費用を払えるか分からない | 「使える行政の制度を教えてください」 |
| (7) 組織内活動 | 家族が持ち込む用件ではない (院内の体制整備と業務の標準化) | — |
| (8) 地域・社会活動 | 家族が持ち込む用件ではない (関係機関・関係職種との連携) | — |
- (1) は「全ての患者の多様な価値観を尊重し、患者にとって最善の医療・ケアが受けられるよう」組織内と地域の多職種と連携して調整する業務です 出典: 厚生労働省「医療ソーシャルワーカー業務指針の全部改正について」
- (3) は療養環境の変化や居宅等での療養生活に伴う心理的・社会的・経済的課題を予測し、その発生を予防し、早期に対応する業務とされています 出典: 厚生労働省「医療ソーシャルワーカー業務指針の全部改正について」
- (6) は「患者・家族等が活用できる行政サービス等について適時適切に紹介や案内をすること」と書かれています。お金の不安は最初に出しておく用件です 出典: 厚生労働省「医療ソーシャルワーカー業務指針の全部改正について」
退院支援に頼めないことと、その回し先
「できません」で終わると、家族は行き先を失います。下の表は、別の主体が「やる」と書かれている一次情報の裏返しとしてまとめたものです。
| 家族が頼みたくなる用件 | 引き受ける先 | 出典 |
|---|---|---|
| 退院日の決定・治療方針の判断 | 主治医。指針は、受診・受療支援の際は医師への相談とその指示を踏まえて支援するとし、他職種の業務独占範囲を侵害しないとしている | 厚生労働省 |
| ケアプラン (介護サービス計画) の作成 | 要介護1から5は居宅介護支援事業者を選んで直接依頼、要支援1・2は地域包括支援センターに依頼 | 前橋市 |
| 要介護度そのものの判定 | 介護認定審査会が、1次判定結果・調査の際の特記事項・主治医の意見書等をもとに審査・判定する | 前橋市 |
| 要介護認定の申請書の受付 | 前橋市役所2階 介護保険課 37番窓口 (電話 027-898-6155)、大胡・宮城・粕川・富士見の各支所 市民サービス課。郵送も可 | 前橋市 |
| 介護保険施設への入所・入院の申込み | 希望する施設へ直接申し込む | 前橋市 |
| 認定結果に対する不服申し立て | 群馬県介護保険審査会 (群馬県庁介護高齢課内 電話 027-226-2581) | 前橋市 |
| 介護休業・介護休暇の申出 | 勤務先。介護休業は育児・介護休業法にもとづく休業で、申出は事業主に対して行う | 厚生労働省 |
- 認定の経過について説明を受けたいときは、前橋市役所2階 37番窓口で説明するとされています 出典: 前橋市「調査から認定までの流れ」
- ケアマネジャーを選ぶ手順は ケアマネジャーとは。誰が選び、何を頼めるのか にまとめています
相談は「退院」と言われる前から始められる
家族が誤解しやすいのが、相談できる時期です。指針は、課題が起きてから相談を受けるのではなく、先回りして動く業務だとしています。
- 居所を問わない — 業務は「入院・外来、在宅等の患者の居所を問わず、患者の傷病及び障害の状態に合わせて」行うとされています。外来通院の段階でも相談の対象です 出典: 厚生労働省「医療ソーシャルワーカー業務指針の全部改正について」
- 予防的・計画的支援 — 「実際に課題が生じた後に患者・家族等から相談を受けて支援を開始するのではなく、早期から様々な情報を収集し」課題を予測して支援するとされています 出典: 厚生労働省「医療ソーシャルワーカー業務指針の全部改正について」
- 面接が基本 — 「患者・家族等に対する個別支援は面接を重視すること」とされています。立ち話ではなく、時間を取った面接を頼めます 出典: 厚生労働省「医療ソーシャルワーカー業務指針の全部改正について」
- 記録が残り、開示を求められる — 支援過程が可視化できる記録を患者ごとに作成し、「患者・家族等から求められた場合には、適切に開示し、説明責任を果たす」とされています 出典: 厚生労働省「医療ソーシャルワーカー業務指針の全部改正について」
- 中立の立場 — 「専門職として、中立的立場を保持した上で」支援を行うとされています。病院の都合だけで話を進める役割ではありません 出典: 厚生労働省「医療ソーシャルワーカー業務指針の全部改正について」
家族の側から確かめる 6 つ
前橋市では病院と在宅の担当者をつなぐ手順がある
前橋市には、病院とケアマネジャーが退院に向けて連携するための取り決めが文書であります。
- 入院前に担当ケアマネジャーがいる場合、前橋市のルールでは「要介護・要支援に関わらず、すべて対象となります」とされています 出典: 前橋市「前橋版 退院調整ルールの手引き」
- 入院前にケアマネジャーがいなかった場合は、病院が基準に当てはめて、居宅介護支援事業所または住所地の地域包括支援センターへ連絡する運用です 出典: 前橋市「前橋版 退院調整ルールの手引き」
- 手引き自身が「強制的な効力を持つものではありません」とし、定めた日数などは目安と考えるよう求めています 出典: 前橋市「前橋版 退院調整ルールの手引き」
- 家族側の動き方は 突然「退院」と言われたときにやること、取り決めの中身は 前橋市の退院調整ルール にまとめています
お金と仕事の用件は、相談室から制度につながる
指針の (4) と (6) は、家族が言い出しにくい用件です。先に出しておくと、使える制度の確認が退院日までに間に合います。
| 家族の不安 | つながる制度 | 前橋市での確認先 |
|---|---|---|
| 介護保険サービスの自己負担が積み上がる | 高額介護サービス費 | 介護保険課 |
| 施設入所の食費・居住費が重い | 負担限度額認定 | 介護保険課 |
| 医療と介護の自己負担が同じ年に重なった | 高額医療合算介護サービス費 | 介護保険課・国民健康保険課 |
| まとまった期間、仕事を休んで体制を作りたい | 介護休業 | 勤務先の労務担当 |
| 通院の付き添いで短く休みたい | 介護休暇 | 勤務先の労務担当 |
- 介護休業は「負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態」にある対象家族を介護するための休業です 出典: 厚生労働省「介護休業制度 特設サイト 介護休業」
- 厚生労働省は、休業期間を「自分が介護を行う」期間ではなく「仕事と介護を両立できる体制を整えるための準備期間」と位置づけています 出典: 厚生労働省「介護休業制度 特設サイト 介護休業」
よくある質問
Q. 医療ソーシャルワーカーはどの病院にもいますか。 A. 業務指針は標準的な業務の範囲と方法を示した文書で、配置を義務づけるものではありません。相談窓口があるかどうかは、入院先のホームページか病棟の看護師に確認してください。
Q. 相談室に相談すると、退院を急がされるのではないですか。 A. 指針は「専門職として、中立的立場を保持した上で」支援を行うとしています。不安がある場合は、家族が心配している点をそのまま伝えて、記録に残してもらう形が取れます。
Q. 支援の記録を見せてもらえますか。 A. 指針は、患者ごとに作成した記録について、患者・家族等から求められた場合には適切に開示し、説明責任を果たすとしています。開示の手続きは病院ごとに異なるため、相談室で確認してください。
Q. 外来通院しているだけでも相談できますか。 A. 業務は「入院・外来、在宅等の患者の居所を問わず」行うとされています。入院していない段階の相談も範囲に含まれます。
Q. 要介護認定が間に合わないと言われました。 A. 認定の申請から結果までは前橋市の案内で約40日です。申請中にできることは 要介護認定の申請中にできること・できないこと にまとめています。進め方は担当のケアマネジャーか地域包括支援センターにご相談ください。
Q. 家に戻るのが難しいと感じています。 A. 介護保険施設への入所を希望する場合は、希望する施設へ直接申し込む形になります。候補の絞り込みと見学の段取りを、相談室とケアマネジャーに手伝ってもらう進め方が現実的です。
関連ページ
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- 前橋市の相談先
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出典
- 厚生労働省「医療ソーシャルワーカー業務指針の全部改正について」医政発0313第4号 令和8年3月13日 (2026年9月27日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001673455.pdf
- 前橋市「前橋版 退院調整ルールの手引き (令和8年6月改訂版)」(2026年9月27日閲覧) https://www.city.maebashi.gunma.jp/material/files/group/37/taiintyouseiru-ru20260605.pdf
- 前橋市「前橋版 退院調整ルールの手引きを改訂しました」(2026年9月27日閲覧) https://www.city.maebashi.gunma.jp/kenko_fukushi/2/chiikihoukatsukeasystem/29964.html
- 前橋市「介護サービス計画の作成」(2026年9月27日閲覧) https://www.city.maebashi.gunma.jp/kenko_fukushi/2/4/3/11731.html
- 前橋市「調査から認定までの流れ」(2026年9月27日閲覧) https://www.city.maebashi.gunma.jp/kenko_fukushi/2/4/3/11732.html
- 前橋市「要介護認定・要支援認定の申請」(2026年9月27日閲覧) https://www.city.maebashi.gunma.jp/soshiki/fukushibu/kaigohoken/shinseisho/11113/7613.html
- 厚生労働省「介護休業制度 特設サイト 介護休業」(2026年9月27日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/leave/
よくある質問
- Q.医療ソーシャルワーカーはどの病院にもいますか。
- 業務指針は標準的な業務の範囲と方法を示した文書で、配置を義務づけるものではありません。相談窓口があるかどうかは、入院先のホームページか病棟の看護師に確認してください。
- Q.相談室に相談すると、退院を急がされるのではないですか。
- 指針は「専門職として、中立的立場を保持した上で」支援を行うとしています。不安がある場合は、家族が心配している点をそのまま伝えて、記録に残してもらう形が取れます。
- Q.支援の記録を見せてもらえますか。
- 指針は、患者ごとに作成した記録について、患者・家族等から求められた場合には適切に開示し、説明責任を果たすとしています。開示の手続きは病院ごとに異なるため、相談室で確認してください。
- Q.外来通院しているだけでも相談できますか。
- 業務は「入院・外来、在宅等の患者の居所を問わず」行うとされています。入院していない段階の相談も範囲に含まれます。
- Q.要介護認定が間に合わないと言われました。
- 認定の申請から結果までは前橋市の案内で約40日です。申請中にできることは別の記事にまとめています。進め方は担当のケアマネジャーか地域包括支援センターにご相談ください。
- Q.家に戻るのが難しいと感じています。
- 介護保険施設への入所を希望する場合は、希望する施設へ直接申し込む形になります。候補の絞り込みと見学の段取りを、相談室とケアマネジャーに手伝ってもらう進め方が現実的です。
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