突然「退院」と言われたときにやること
退院日までに決めるのは行き先とサービス開始日の2つ。前橋市には病院とケアマネジャーをつなぐ退院調整ルール (令和8年6月改訂) があり、連絡の目安は退院の7日前。要介護認定が間に合わなくても、認定の効力は申請日にさかのぼる。
病室で「来週には退院できます」と言われて、頭が真っ白になる家族は多いです。治療が一段落したという話と、家で介護ができるかという話は別です。退院日までに決めるのは、行き先とサービスの開始日の 2 つです。
今やること 3 つ
最初の連絡先は、入院前の状況で変わる
いちばん多い迷いが「誰に言えばいいのか」です。前橋市の退院調整ルールでは、入院前にケアマネジャーがいたかどうかで動きが分かれます。
| 入院前の状況 | 最初の連絡先 | 家族がやること |
|---|---|---|
| 介護保険サービスを使っていた (担当ケアマネジャーがいる) | 担当のケアマネジャー | 入院したことをケアマネジャーに電話で伝える |
| 介護保険を使っていない・要介護認定もまだ | 病院の地域連携室・退院支援担当 | 退院後に介護が必要そうだと伝え、相談の場を作ってもらう |
| 要支援の見込み、または判断に迷う | 本人の住所を担当する地域包括支援センター | 住所を伝えて担当センターを確認する |
- 入院前に担当ケアマネジャーがいる場合、前橋市のルールでは「要介護・要支援に関わらず、すべて対象となります」とされています 出典: 前橋市「前橋版 退院調整ルールの手引き」
- 病院側は、家族や介護保険被保険者証から担当ケアマネジャーを確認し、本人・家族から連絡するよう依頼する流れになっています 出典: 前橋市「前橋版 退院調整ルールの手引き」
- 担当の地域包括支援センターは 前橋市の相談先 で確認できます。手順は 本人の住所を担当する地域包括支援センターに電話する にまとめています
前橋市には「退院調整ルール」がある
前橋市には、病院とケアマネジャーが退院に向けて連携するための取り決めが文書であります。家族がこれを知っているだけで、話の進め方が変わります。
- 正式名称 — 前橋版 退院調整ルール。運用開始は平成29年2月、手引きは令和8年6月改訂版 出典: 前橋市「前橋版 退院調整ルールの手引きを改訂しました」
- 連絡の目安は退院の 7 日前 — 病院担当者は、在宅担当者の退院調整に必要な期間 (原則、7日前) を考慮して連絡する、とされています 出典: 前橋市「前橋版 退院調整ルールの手引き」
- 使うのは 7 種類の機関 — 病院・診療所、居宅介護支援事業所、小規模多機能型居宅介護事業所、看護小規模多機能型居宅介護事業所、おうちで療養相談センターまえばし、地域包括支援センター、前橋市保健所 出典: 前橋市「前橋版 退院調整ルールの手引き」
- 強制力はない — 手引き自身が「強制的な効力を持つものではありません」とし、定めた日数などは目安と考えるよう求めています 出典: 前橋市「前橋版 退院調整ルールの手引き」
「退院調整が必要な人」の基準を知っておく
入院前にケアマネジャーがいなかった場合、病院が基準に当てはめて退院調整の要否を判断します。家族は、当てはまる項目を具体的に伝えられると話が早くなります。
| 区分 (65歳以上) | 当てはまる状態 | 病院からの連絡先 |
|---|---|---|
| 要介護認定に該当しそう | 立ち上がりや歩行などに介助が必要 / 食事に介助が必要 / 排泄に介助が必要 / 精神症状または認知症状がある | 居宅介護支援事業所 |
| 見逃してはいけない | 独居かそれに近い状態で、調理や掃除など身の回りの周辺動作に介助が必要 / がん末期、または新たに医療処置が追加された | 住所地の地域包括支援センター |
| 判断に迷う場合 | — | 住所地の地域包括支援センター |
- 上の 4 項目は「1項目でも当てはまれば」居宅介護支援事業所へ連絡する運用で、より重い状態も含みます 出典: 前橋市「前橋版 退院調整ルールの手引き」
- 40歳以上65歳未満の場合は、介護保険の対象となる16種類の特定疾病に当てはまり、かつ上の基準にも当てはまることが条件になります 出典: 前橋市「前橋版 退院調整ルールの手引き」
- 病院が在宅への退院を可能と判断する基準は「病状がある程度安定した状態である」「在宅での介護が可能そうである」の 2 つです 出典: 前橋市「前橋版 退院調整ルールの手引き」
医療ソーシャルワーカーに何を頼めるのか
病院の相談窓口にいるのが医療ソーシャルワーカー (MSW) です。厚生労働省は令和8年3月13日付で業務指針を全部改正し、業務の範囲を 8 つに整理しました 出典: 厚生労働省「医療ソーシャルワーカー業務指針の全部改正について」。
- 入退院支援・療養支援 — 療養環境の変化や在宅での療養生活に伴う心理的・社会的・経済的課題を予測し、早期に対応する
- 経済的課題の把握と解決に向けた支援 — 生活に困窮する、または困窮が予測される患者・家族が使える行政サービスを紹介・案内する
- 意思決定支援 — 本人にとって最善の医療・ケアが受けられるよう、組織内と地域の多職種と連携して調整する
- 社会生活と治療の両立支援 — 仕事、学業、育児、介護との両立を図れるよう支援する
- 受診・受療支援 / 心理的・社会的課題解決への支援 / 組織内活動 / 地域・社会活動 — 残る 4 つの業務
窓口の呼び名は病院によって地域連携室・医療相談室・入退院支援室などに分かれます。制度としての位置づけは 退院支援 (医療ソーシャルワーカー・入退院支援室) にまとめています。
退院日までにやること
認定がまだ出ていなくても動ける
退院日が先に決まり、要介護認定の結果が間に合わないことがあります。この場合でも手はあります。
- 認定の効力は申請日にさかのぼる — 介護保険法第27条第8項は「要介護認定は、その申請のあった日にさかのぼってその効力を生ずる」と定めています 出典: 厚生労働省 法令等データベース 介護保険法
- 結果を待たずに始める道がある — 保険者 (市町村) が必要と認めた場合、認定結果が出る前の段階でも暫定ケアプランを作ってサービスの提供を開始できる、という取扱いがあります。これは厚生労働省が「末期がん等の方」への対応として出した事務連絡 (平成22年4月30日) に記されているもので、通知自体の対象は末期がん等の方です 出典: 厚生労働省「末期がん等の方への要介護認定等における留意事項について」
- 自分の親が当てはまるかは窓口に聞く — 暫定ケアプランを実際にどう扱うかは市町村ごとに運用が分かれます。担当のケアマネジャー、または前橋市介護保険課 (電話 027-898-6155) に、始める前に確認してください 出典: 前橋市「要介護認定・要支援認定の申請」
- 入院時から情報を渡す仕組みが前橋市にはある — 退院調整ルールでは、在宅担当者は本人の入院を把握したら病院に連絡し、「入院時情報提供書」と「入院時の情報提供連絡票」を作成して病院に提供することになっています 出典: 前橋市「前橋版 退院調整ルールの手引き」
申請中にできることの詳細は 要介護認定の申請中にできること・できないこと にまとめています。
家に戻るのが難しいと感じたとき
在宅が不安でも、退院日までに施設を決め切らなければならないわけではありません。行き先の判断は、ケアマネジャーと医療ソーシャルワーカーと一緒に行うものです。
- 介護老人保健施設 (老健) という選択肢 — 老健は在宅復帰を目指す人の入所を受け入れ、リハビリテーションや必要な医療、介護などを提供する施設です。要支援1・2の人は利用できません 出典: 厚生労働省「介護老人保健施設 (老健)」
- 費用は施設サービス費だけではない — 居住費・食費・日常生活費などがかかり、施設の形態や居室の種類、職員の配置によって変わります 出典: 厚生労働省「介護老人保健施設 (老健)」
- 医療と介護の両方で迷うとき — おうちで療養相談センターまえばし (前橋市岩神町二丁目3-5、電話 027-233-2264、月曜日から金曜日の午前9時から午後5時、休祝日と年末年始を除く) が在宅療養の相談を受けています 出典: 前橋市「前橋版 退院調整ルールの手引き」
検討の進め方は 退院後すぐに自宅が難しいなら老健 (介護老人保健施設) を検討する を参照してください。認知症の診断や相談先を退院前に確保したい場合は 退院前に認知症の診断・相談先を確保する を参照してください。
よくある質問
Q. 退院を延ばしてもらうことはできますか。 A. 退院日は主治医の判断です。介護の準備が間に合わないという事情は、病院の地域連携室や医療ソーシャルワーカーに具体的な日付と理由で伝えてください。調整の余地があるかは病院が判断します。
Q. ケアマネジャーはどこで探せばいいですか。 A. 要介護1から5の見込みなら居宅介護支援事業者を自分で選べます。前橋市の退院調整ルールでは、病院担当者が事業所連絡先一覧から事業所の選定を支援する運用になっています。
Q. 前橋市外の病院に入院しています。前橋版のルールは使えますか。 A. このルールは前橋市内にお住まいの対象者が市内の病院に入院し、退院後に在宅へ戻るケースを想定したものです。市外の病院の場合は、入院先の地域連携室と本人の住所地の地域包括支援センターの両方に相談してください。
Q. 退院前カンファレンスには家族も出られますか。 A. 手引きでは、病院担当者と在宅担当者が本人や家族を交えて看護・リハビリ・栄養などの引き継ぎを実施するとされています。参加したい意向は事前に病院担当者へ伝えてください。
Q. 入院中に介護保険の申請はできますか。 A. 申請自体は入院中でもできます。ただし前橋市は、入院したばかりで調査ができない場合などに申請の取下げを依頼することがあるとしています。申請の時期は病院担当者と相談してください。
関連ページ
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出典
- 前橋市「前橋版 退院調整ルールの手引き (令和8年6月改訂版)」(2026年9月25日閲覧) https://www.city.maebashi.gunma.jp/material/files/group/37/taiintyouseiru-ru20260605.pdf
- 前橋市「前橋版 退院調整ルールの手引きを改訂しました (令和8年6月改訂版)」(2026年9月25日閲覧) https://www.city.maebashi.gunma.jp/kenko_fukushi/2/chiikihoukatsukeasystem/29964.html
- 厚生労働省「医療ソーシャルワーカー業務指針の全部改正について」医政発0313第4号 令和8年3月13日 (2026年9月25日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001673455.pdf
- 厚生労働省老健局老人保健課「末期がん等の方への要介護認定等における留意事項について」事務連絡 平成22年4月30日 (2026年9月25日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/nintei/dl/terminal-cancer_1.pdf
- 厚生労働省「介護保険法」法令等データベース (2026年9月25日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82998034&dataType=0&pageNo=1
- 厚生労働省「介護老人保健施設 (老健)」介護サービス情報公表システム (2026年9月25日閲覧) https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group15.html
- 前橋市「要介護認定・要支援認定の申請」(2026年9月25日閲覧) https://www.city.maebashi.gunma.jp/soshiki/fukushibu/kaigohoken/shinseisho/11113/7613.html
- 前橋市「介護サービス計画の作成」(2026年9月25日閲覧) https://www.city.maebashi.gunma.jp/kenko_fukushi/2/4/3/11731.html
よくある質問
- Q.退院を延ばしてもらうことはできますか。
- 退院日は主治医の判断です。介護の準備が間に合わないという事情は、病院の地域連携室や医療ソーシャルワーカーに具体的な日付と理由で伝えてください。調整の余地があるかは病院が判断します。
- Q.ケアマネジャーはどこで探せばいいですか。
- 要介護1から5の見込みなら居宅介護支援事業者を自分で選べます。前橋市の退院調整ルールでは、病院担当者が事業所連絡先一覧から事業所の選定を支援する運用になっています。
- Q.前橋市外の病院に入院しています。前橋版のルールは使えますか。
- このルールは前橋市内にお住まいの対象者が市内の病院に入院し、退院後に在宅へ戻るケースを想定したものです。市外の病院の場合は、入院先の地域連携室と本人の住所地の地域包括支援センターの両方に相談してください。
- Q.退院前カンファレンスには家族も出られますか。
- 手引きでは、病院担当者と在宅担当者が本人や家族を交えて看護・リハビリ・栄養などの引き継ぎを実施するとされています。参加したい意向は事前に病院担当者へ伝えてください。
- Q.入院中に介護保険の申請はできますか。
- 申請自体は入院中でもできます。ただし前橋市は、入院したばかりで調査ができない場合などに申請の取下げを依頼することがあるとしています。申請の時期は病院担当者と相談してください。
出典
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