家族だけでは介護できない。在宅か施設かを決める前に
家族だけでは介護できないと感じたら、在宅か施設かを選ぶ前に、介助に入れる時間と入れない時間を書き出してケアマネジャーに見せる。国の基準は、ケアプランの原案を作るときに家族の希望を勘案すると定めている。
母も高齢で、自分には仕事がある。それでも「家で見るもの」という空気があって、無理だと言い出せない。家族だけでは介護できないと感じたら、在宅か施設かを選ぶ前に、できることとできないことを紙に書くところから始めます。
今やること 3 つ
「家族だけでは介護できない」は、制度が最初から想定している
| どこに書いてあるか | 書かれていること |
|---|---|
| 介護保険法 第1条 | 介護保険制度は「国民の共同連帯の理念」に基づいて設けられている |
| 介護保険法 第2条第3項 | 保険給付は「被保険者の選択に基づき」サービスが提供されるよう配慮して行う |
| 厚生労働省「介護保険制度の概要」 | 介護保険は「高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組み」として創設された |
| 厚生労働省 ショートステイの説明 | 目的に「家族の介護の負担軽減」が含まれる |
| 厚生労働省 介護休業の説明 | 休業期間は「自分が介護を行うのではなく」体制を整える準備期間と捉える |
- 法律の条文について 出典: 厚生労働省 法令等データベース 介護保険法
- 制度の成り立ちについて 出典: 厚生労働省「介護保険制度の概要」
- ショートステイの目的について 出典: 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「短期入所生活介護 (ショートステイ)」
- 介護休業の使い方について 出典: 厚生労働省「介護休業制度 特設サイト 介護休業」
在宅介護の限界を、気持ちではなく数字で伝える
「もう無理です」とだけ伝えると、相手は何を足せばよいか判断できません。書き出す項目を決めておきます。
| 書き出す項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 介助に入れる人 | 長女 (別居・車で 40 分)、母 (同居・80 代) |
| 入れる曜日と時間帯 | 長女は土曜日と日曜日の日中。平日は 19 時以降 |
| 入れない時間帯 | 平日の日中、夜間 |
| 手が足りない場面 | 入浴、夜中のトイレ、通院の付き添い |
| 介助する側の体調 | 母は腰痛で、抱え起こす動作ができない |
| 仕事の制約 | 月に休める日数、在宅勤務の可否 |
- 誰に見せるか — 担当のケアマネジャーです。まだいない場合は地域包括支援センター、入院中なら病院の相談員に渡します
- 「できる」を多めに書かない — 書いた内容を前提にケアプランが組まれます。続けられる量だけを書きます
- 本人の希望と分けて書く — 本人がどう暮らしたいかと、家族が何を担えるかは別の欄にします
ケアマネジャーは家族の話を聞くことになっている
国の基準 (指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第13条) は、ケアマネジャーの仕事を次のように定めています。
| 場面 | 基準が定めていること |
|---|---|
| 課題の把握 (アセスメント) | 利用者の居宅を訪問し、利用者及びその家族に面接して行う |
| ケアプランの原案 | 利用者の希望とアセスメントの結果に基づき、利用者の家族の希望を勘案して作成する |
| サービス担当者会議 | 利用者及びその家族の参加を基本とする |
出典: 厚生労働省 法令等データベース「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」
家族の事情を伝えることは、わがままではなく、ケアプランを作るための材料です。ケアマネジャーへの頼み方は ケアマネジャーとは。誰が選び、何を頼めるのか にまとめています。
在宅か施設かを決める前の 6 段階
- 在宅と施設は二者択一ではありません。在宅で始めて施設の申込みも進める、という組み立てができます
- どちらが合うかは、本人の状態と家族の事情で変わります。判断はケアマネジャーや地域包括支援センターと相談して決めてください
在宅を続けるなら、休む日を先に確保する
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| ショートステイの対象になる場面 | 家族 (介護者) の疾病、冠婚葬祭、出張、身体的・精神的負担の軽減など | 厚生労働省 |
| 連続して使える日数 | 30 日まで | 厚生労働省・前橋市 |
| 利用日数の目安 | 要介護等認定有効期間全体のおおむね半数を超えない | 前橋市 |
| 半数を超える場合 (前橋市) | 特に必要である理由を市に申し出る | 前橋市 |
- 国の説明について 出典: 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「短期入所生活介護 (ショートステイ)」
- 前橋市の運用について 出典: 前橋市「短期入所サービス利用の留意事項」
- 半数の目安は機械的な上限ではない — 前橋市は、利用者の心身の状況や本人・家族等の意向に照らして特に必要と認められる場合、これを上回る日数を位置づけることも可能としています
- 疲れ切ってから探さない — 利用の組み方は ショートステイ (短期入所生活介護・短期入所療養介護) を参照し、ケアマネジャーに相談してください
施設を選択肢に入れるときの入口
| 施設 | 利用できる人 | 申込み先 |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 要介護3〜5。要介護1・2 は特例入所の要件に当てはまる場合 | 各施設 |
| 介護老人保健施設 (老健) | 要介護1〜5 | 各施設 |
| グループホーム | 認知症のある要支援2〜要介護5 | 各施設 |
- 前橋市は、施設サービスについて「入所の申し込みは介護保険施設へ直接行います」と案内しています 出典: 前橋市「介護保険の施設サービス」
- 老健について 出典: 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「介護老人保健施設 (老健)」
- グループホームについて 出典: 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「認知症対応型共同生活介護 (グループホーム)」
特別養護老人ホームは、家族の事情も見て判断される
群馬県の入所指針は、要介護1・2 の人の特例入所を判定するときに考慮する事情を 4 つ挙げています。
- 認知症で、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られる
- 知的障害、精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られる
- 家族等による深刻な虐待が疑われること等により、心身の安全・安心の確保が困難である
- 単身世帯である、同居家族が高齢又は病弱である等により家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の供給が不十分である
- 申込みの時点で希望時期を聞かれる — 施設は申込書の希望入所時期によって、申込者を A グループと B グループに分けます
- 順番は申込み順ではない — A グループの人は評価基準で点数化され、合計点数の高い順に名簿が作られます
- 当てはまるかどうかは施設と市が判断する — 家族の状況は申込書に具体的に書き、分からない点は施設に尋ねてください
種類ごとの違いは 介護施設5種類の違いと入居の条件 を参照してください。
最初に「できない」と伝える相手
| 状況 | 伝える相手 |
|---|---|
| 担当のケアマネジャーがいる | ケアマネジャー |
| ケアマネジャーがまだいない | 本人の住所を担当する地域包括支援センター |
| 入院中 | 病院の相談員 (医療ソーシャルワーカー) |
| 家族の中で意見が割れている | ケアマネジャーか地域包括支援センターに、割れていること自体を伝える |
- 地域包括支援センターは相談の入口 — 高齢者等に関するさまざまな相談を受け、適切な機関や制度、サービスにつなぐ「総合相談支援業務」を担っています 出典: 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「公表されている生活関連情報について」
- 前橋市の場合 — 市内に 12 か所の地域包括支援センターと 10 か所のブランチ (窓口) があります 出典: 前橋市「前橋市地域包括支援センター及びブランチ(窓口)」
- 仕事を休んで体制を作る — 介護休業は対象家族 1 人につき 3 回、通算 93 日まで取得できます 出典: 厚生労働省「介護休業制度 特設サイト 介護休業」。申し出の手順は 介護休業 を参照してください
家族の中で役割を決める進め方は 家族で介護を分担するとき最初に決めること にまとめています。
よくある質問
Q. 「在宅で見られません」と言ったら、サービスを断られますか。 A. 国の基準は、ケアマネジャーが利用者の家族の希望を勘案してケアプランの原案を作ると定めています。家族が担える量を伝えることは、計画を作るための情報提供です。
Q. 本人は家にいたいと言っています。家族の都合で施設を選んでよいのでしょうか。 A. 編集部がどちらかを勧めることはできません。本人の希望と家族が担える量を分けて書き出し、ケアマネジャーか地域包括支援センターに両方を見せて相談してください。
Q. 要介護1・2 でも特別養護老人ホームに申し込めますか。 A. 特例入所の要件に当てはまる場合は対象になります。群馬県の指針は、要件に該当している旨の申立てがある場合、施設が申込みを受け付けない取扱いは認めないとしています。
Q. ショートステイは家族が疲れたという理由でも使えますか。 A. 厚生労働省は対象者の条件の例に、家族 (介護者) の身体的・精神的負担の軽減を挙げています。利用の可否と日数はケアマネジャーに相談してください。
Q. 在宅を選んだあとで、施設に切り替えることはできますか。 A. 在宅サービスを使いながら施設に申し込む組み立てができます。入所の申込みは施設へ直接行います。
関連ページ
- 家族だけでは介護できない。でも「在宅で」と言われそうで言い出せない
- 老老介護が限界。母が父を介護できなくなった
- 介護保険制度
- ショートステイ (短期入所生活介護・短期入所療養介護)
- 特別養護老人ホーム (介護老人福祉施設)
- 介護休業
- 前橋市の相談先
- あなたの状況を診断する
出典
- 厚生労働省「介護保険法」法令等データベース (2026年9月28日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82998034&dataType=0&pageNo=1
- 厚生労働省老健局「介護保険制度の概要」令和7年7月 (2026年9月28日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/content/001512842.pdf
- 厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」法令等データベース (2026年9月28日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82999405&dataType=0&pageNo=1
- 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「短期入所生活介護 (ショートステイ)」(2026年9月28日閲覧) https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group12.html
- 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「介護老人保健施設 (老健)」(2026年9月28日閲覧) https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group15.html
- 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「認知症対応型共同生活介護 (グループホーム)」(2026年9月28日閲覧) https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group18.html
- 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「公表されている生活関連情報について」(2026年9月28日閲覧) https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish_seikatsu/
- 厚生労働省「介護休業制度 特設サイト 介護休業」(2026年9月28日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/leave/
- 群馬県「群馬県特別養護老人ホーム入所等指針」令和6年4月1日適用 (2026年9月28日閲覧) https://www.pref.gunma.jp/uploaded/attachment/643999.pdf
- 前橋市「短期入所サービス利用の留意事項」(2026年9月28日閲覧) https://www.city.maebashi.gunma.jp/kenko_fukushi/2/4/2/11753.html
- 前橋市「介護保険の施設サービス」(2026年9月28日閲覧) https://www.city.maebashi.gunma.jp/kenko_fukushi/2/4/1/11747.html
- 前橋市「前橋市地域包括支援センター及びブランチ(窓口)」(2026年9月28日閲覧) https://www.city.maebashi.gunma.jp/kenko_fukushi/2/9/11795.html
よくある質問
- Q.「在宅で見られません」と言ったら、サービスを断られますか。
- 国の基準は、ケアマネジャーが利用者の家族の希望を勘案してケアプランの原案を作ると定めています。家族が担える量を伝えることは、計画を作るための情報提供です。
- Q.本人は家にいたいと言っています。家族の都合で施設を選んでよいのでしょうか。
- 編集部がどちらかを勧めることはできません。本人の希望と家族が担える量を分けて書き出し、ケアマネジャーか地域包括支援センターに両方を見せて相談してください。
- Q.要介護1・2 でも特別養護老人ホームに申し込めますか。
- 特例入所の要件に当てはまる場合は対象になります。群馬県の指針は、要件に該当している旨の申立てがある場合、施設が申込みを受け付けない取扱いは認めないとしています。
- Q.ショートステイは家族が疲れたという理由でも使えますか。
- 厚生労働省は対象者の条件の例に、家族 (介護者) の身体的・精神的負担の軽減を挙げています。利用の可否と日数はケアマネジャーに相談してください。
- Q.在宅を選んだあとで、施設に切り替えることはできますか。
- 在宅サービスを使いながら施設に申し込む組み立てができます。入所の申込みは施設へ直接行います。
出典
数字・要件は以下の一次情報で確認しています。最新の内容は各公式ページでご確認ください。
- 介護保険法 (厚生労働省 法令等データベース)
- 介護保険制度の概要 (令和7年7月、厚生労働省老健局)
- 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準
- どんなサービスがあるの? 短期入所生活介護 (ショートステイ)
- どんなサービスがあるの? 介護老人保健施設 (老健)
- どんなサービスがあるの? 認知症対応型共同生活介護 (グループホーム)
- 公表されている生活関連情報について (介護サービス情報公表システム)
- 介護休業制度 特設サイト: 介護休業
- 群馬県特別養護老人ホーム入所等指針 (令和6年4月1日適用)
- 短期入所サービス利用の留意事項 (前橋市)
- 介護保険の施設サービス (前橋市)
- 前橋市地域包括支援センター及びブランチ(窓口)