認知症の親が施設を嫌がる。同意なしにできること・できないこと
契約行為には本人の意思能力が必要という民法の原則と、意思決定支援ガイドラインの考え方をもとに、段階的な体験 (ショートステイ・グループホーム) と成年後見・日常生活自立支援事業の使い分けをまとめた。
「家に帰る」と繰り返す親。施設の話を持ち出すたびに拒否される。無理に決めるべきか、本人の意思を待つべきか、判断がつかない。
今やること 3つ
できること・できないことを分けて考える
- 家族が代わりに同意書へサインしても、本人に契約の意味を理解する能力 (意思能力) がなければ、その契約自体が無効になりうる
- 判断能力の程度に応じて、家庭裁判所が選ぶ後見人等には補助・保佐・後見の3類型がある 出典: 厚生労働省 成年後見制度
- 成年後見人も、本人の意思決定を支える「意思決定支援者」の一人として位置づけられている 出典: 同ガイドライン。入所の判断や、本人の意思に反する対応をどこまでできるかは、家庭裁判所や専門職に個別に確認する
本人の意思をくみ取る (意思決定支援)
意思決定支援とは、認知症の人の能力を最大限活かし、 自らの意思に基づいた生活を送れるようにするための本人支援をいう — 厚生労働省 意思決定支援ガイドライン (平成30年6月)
- 家族も、本人の意思決定を支える「意思決定支援者」の一人として位置づけられている (ケアを提供する専門職や行政職員に限らない) 出典: 同ガイドライン
- 「説得して同意させる」のではなく、本人が意思を形成し、表明し、実現することを段階的に支えるプロセスとして進める
- 迷ったときは、意思決定支援チームの一員として地域包括支援センター・ケアマネジャー・かかりつけ医に相談する
段階的に慣れる選択肢
急に「施設に入る・入らない」を決めるのではなく、一時的な利用から始める方法がある。
契約・お金の担い手を決める (成年後見制度)
| 制度 | 対象 | 主な費用 |
|---|---|---|
| 法定後見 (補助・保佐・後見) | 判断能力の程度に応じて家庭裁判所が選任 出典: 厚生労働省 | 申立手数料800円、登記手数料2,600円ほか (鑑定料が生じる場合あり) 出典: 厚生労働省 |
| 日常生活自立支援事業 | 契約内容を判断できる程度の能力がある人 出典: 厚生労働省 | 相談・契約前は無料。前橋市社協は契約後1時間1,500円 (生活保護世帯は無料) 出典: 前橋市社会福祉協議会 |
前橋市には、生活保護受給者または市民税非課税で預貯金60万円以下などの要件を満たす65歳以上の人を対象に、申立費用や後見人等の報酬を助成する事業がある 出典: 前橋市。対象になるかはケースごとに異なるため、まず窓口に確認する。
前橋市の相談先
| 相談内容 | 窓口 |
|---|---|
| 権利擁護・成年後見の相談全般 | 地域包括支援センター (住所ごとに担当が決まる) → /systems/chiiki-hokatsu |
| 前橋市の成年後見制度利用支援事業 | 福祉部 長寿包括ケア課 地域支援係 (027-898-6275) 出典 |
| 認知症の診断・専門医療相談 | 認知症疾患医療センター (群馬大学医学部附属病院 027-220-8047 ほか) 出典 |
よくある質問
Q. 本人の同意なしに施設に入れることはできますか。 A. 施設入居は契約行為なので、本人に意思能力があれば本人の同意が前提になる。意思能力が不十分な場合は後見人等の代理によることがあるが、後見人も本人の意思決定を支える意思決定支援者の一人として位置づけられている。入所の判断や本人の意思に反する対応をどこまでできるかは個別の事情によるため、地域包括支援センターや家庭裁判所、専門職に確認してほしい。
Q. 診断を受けていなくても相談できますか。 A. できる。認知症初期集中支援チームは「もしかして認知症?」と思った段階から相談できる窓口で、窓口は地域包括支援センター。
Q. グループホームは今住んでいない市町村でも入れますか。 A. 原則、事業所のある市町村に住む人が対象 (地域密着型サービス)。例外の扱いはケアマネジャーや地域包括支援センターに個別に確認する。
関連ページ
出典
- 厚生労働省「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」(平成30年6月) https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000212396.pdf
- e-Gov法令検索「民法」第3条の2 (2026年9月30日閲覧) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- 厚生労働省「成年後見はやわかり」(2026年9月30日閲覧) https://guardianship.mhlw.go.jp/personal/type/legal_guardianship/
- 厚生労働省「日常生活自立支援事業」(2026年9月30日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/chiiki-fukusi-yougo/index.html
- 介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの? 短期入所生活介護」「グループホーム」(2026年9月30日閲覧) https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group12.html / https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group18.html
- 前橋市「認知症高齢者等成年後見制度利用支援事業」「認知症初期集中支援チーム」「グループホーム待機者・空き状況」(2026年9月30日閲覧) https://www.city.maebashi.gunma.jp/kenko_fukushi/2/9/48527.html
- 前橋市社会福祉協議会「日常生活自立支援事業」(2026年9月30日閲覧) https://www.mae-shakyo.or.jp/sien/jiritsu/jigyou.html
- 群馬県「認知症疾患医療センター」(2026年9月30日閲覧) https://www.pref.gunma.jp/page/2132.html
よくある質問
- Q.本人の同意なしに施設に入れることはできますか。
- 施設入居は契約行為なので、本人に意思能力があれば本人の同意が前提になる。意思能力が不十分な場合は後見人等の代理によることがあるが、後見人も本人の意思決定を支える意思決定支援者の一人として位置づけられている。入所の判断や本人の意思に反する対応をどこまでできるかは個別の事情によるため、地域包括支援センターや家庭裁判所、専門職に確認してほしい。
- Q.診断を受けていなくても相談できますか。
- できる。認知症初期集中支援チームは「もしかして認知症?」と思った段階から相談できる窓口で、窓口は地域包括支援センター。
- Q.グループホームは今住んでいない市町村でも入れますか。
- 原則、事業所のある市町村に住む人が対象 (地域密着型サービス)。例外の扱いはケアマネジャーや地域包括支援センターに個別に確認する。
出典
数字・要件は以下の一次情報で確認しています。最新の内容は各公式ページでご確認ください。